Haiz Coffee Roastery
南砺市井波地域に位置するコーヒーロースタリー(焙煎所)兼カフェの計画。
オーナーは20代の焙煎士・清水氏と、仕入れを担当するバイヤー・北川氏の2人。清水氏は都内の様々なロースタリーで修行を重ね、地元である富山へのUターンを機に起業を考えていた。そんな中、井波でまちづくりをおこなっている一般社団法人ジソウラボが計画していた新たな文化施設での出店者募集を知り開業に至った。
バイヤーの北川氏は、コーヒー豆原産国であるコロンビアには未だ日本で知られていない個性豊かなコーヒー豆が沢山あるにもかかわらず、その殆どがマイクロファーム(小規模農場)であり、大手の流通にのせられないことに気付く。そんな小さな農場を応援したい、魅力的で多様なコーヒー文化を東京(都市)からではなく井波(地方)から全国へ発信したい、との想いからダイレクトトレード(直接輸入)を行い、清水氏の焙煎の技術により更に風味や味が高められたコーヒーへと進化させている。
今回、デザインするにあたって2人のコーヒーへの想いから「無垢さ」をテーマにした空間を目指した。コーヒー豆は無垢な生豆の状態から、焙煎の手法によって様々な味に変化する。何にも染められていない2人の想いが、年を重ねる毎に焙煎されていくように、空間で用いるマテリアルは、極力装飾を加えず、コンクリートブロック、古材を利用したフローリング、アイアンフレーム等の素材の無垢さが全面に感じる空間とした。
空間構成としては、既存のコンクリートブロック造の中に入れ子状にカウンターを配置することにより、通路であり店舗のような曖昧な空間が現れ、カウンター越しにコーヒー談義ができるような賑わいのある空間を演出。入れ子カウンターのファサードにはコーヒーを輸入する際に使用されるHaiz Coffeeオリジナルの麻袋を再利用することで、特徴のある外観に仕上がっている。2人のコーヒーへの情熱と共に無垢な空間が少しずつ熟成されていくことを期待している。
プロデュース&プロジェクトマネジメント
山川智嗣(CORARE ARTISANS JAPAN)
建築デザイン
山川智嗣、山川さつき(CORARE ARTISANS JAPAN)
建築施工
藤井圭一(藤井工業)
石材加工
北村隆洋(北村石材店)
洗面ボウル
二上利博(FUTAGAMI)
写真
大木賢(nando)