FIREPLACE / HOUSE
横浜市に位置する、築約30年のヴィンテージマンションのリノベーション計画。
オーナーの渡邉氏は「つながりを創出し、しあわせの総量を増やす」のビジョンのもと、地域創生事業をはじめ、不動産価値向上事業も行なっている「場づくり」のプロ集団:株式会社ファイアープレイスを運営している。
特に昨今のコロナ禍により、人々の「働く場所=オフィス」という概念が薄れ、場所の名前とアクティビティの関係性が希薄になるなか、自らの邸宅を実験の場としてパブリック、ビジネス、プライベートという人々の営みに寄り添う場の「意味/境界」を因数分解することを試みた。
コンセプトは「アナーキープレイス」
かつて香港に存在した、高層高密度集合住宅:九龍城砦をモチーフに混沌とした世界の中にも、人々の小さな幸せがあり不思議と連帯感が生まれる、そんな空間デザインを目指した。
特に、全ての人々がモバイル端末を手に入れた現代。建築的操作として、アクティビティの境界線を「壁」で分断するのではなく、身体的な感情の操作によって「パブリック/ビジネス/プライベート」を、ここに訪れる人々自らが選ぶことができるよう、大小、多少、明暗…。さまざまな要素を混じり合わせ、ひとつながりの計画とした。また、アクティビティを誘発させる要素として、出どころがわからない建築マテリアルは極力排除して、空間の「手触り感」を感じてもらえるよう、顔が見える(背景にストーリーがある)マテリアルで空間を構成することを心がけた。
自宅でもあり、オフィスでもあり、バーでもあり、公園でもある。
きっとここから日本に新たな火が灯る「ひと / ファイアープレイス」が生まれることを期待している。
プロデュース&プロジェクトマネジメント
山川智嗣(CORARE ARTISANS JAPAN)
建築デザイン
山川智嗣、山川さつき(CORARE ARTISANS JAPAN)
ローカルアーキテクト
間宮洋一(ROWBOAT)
建築施工
河之辺隆志(株式会社エイト)
木彫刻
前川大地(井波木彫工芸館)
家具
金谷光憲 (マルキン家具)
写真
大木賢(大木賢写真事務所)