南砺市福光地域に位置する新築住宅の計画。

オーナーは新婚夫婦で、弊社運営の宿泊施設「Bed and Craft」に滞在されたことをきっかけに、一般的な戸建住宅ではなくホテルのような設えの中で暮らしたいとの要望を受けデザインをはじめた。

住宅は商業建築と違い、家族構成や暮らしの移り変わりを受け止める「耐久性のあるデザイン」が必要だと考えている。つまり、いつまでも古びない「普遍性」と住まい手の個性を表現する「独自性」をどう内包させるかが大きなテーマとなった。

そこで、旦那さんが大変大事にされているというスポーツカーを、家のどの場所にいても眺められ、暮らしの一部として車と寄り添う生活を提案し、住宅の中心にライトコート（光庭）を設えた。そうすることにより、室内に明るい光を取り込むと同時に視線の繋がりを生み出した。また、奥さまが幼少期過ごした子供室から見える里山の風景を２階リビング奥に借景で切り取ることにより、旧家屋の思い出を継承。２人らしい個性がデザインの奇を衒うことなく実現した。

南面の外観には、外壁面より227mm幅のルーバーが設置されており、前面道路からの気配を和らげたり、連続する縦ラインが１階ガレージ壁面の焼杉板と呼応し、デザインにリズムを与える役割も担っている。

年齢を重ねても、落ち着いた暮らしを実現するデザインとしながらも、玄関の束石や床の間のレンガタイル、木彫の手摺等、特徴的なエッセンスを加えることにより、夫婦にとって他にはない愛着のある家になっていくことを願っている。