cafe nook
富山県南砺市福光地域に位置するindigo furnitureは、家具職人の工藤夫婦が共に営む家具メーカー。このブランドは「indigo(藍色)のように、使うほどに風格が増す家具」というコンセプトを掲げ、無垢材の持つ素朴で温かみのある素材感を活かして、長く愛される家具を創り出している。彼らの思いは、ただの物作りに留まらず、使用する人々の生活に寄り添う温もりを提供することだ。
今回新たに計画したのは工場に併設したショールームであり、訪れる人々にリラックスしてもらうことを大切にしたカフェも併設した空間。既存の倉庫部分を拡張し、開放感あふれる明るい空間を創造した。工場の雰囲気を残す天井の折板屋根を現しにし、既存のトップライトを活かして、室内に自然光が降り注ぐことで、まるで外の世界と一体化したような感覚を味わえる。細長い空間をスキップフロアとして設計し、各高さレベルで自宅の様々なシーンを家具で表現できるように配慮した。お客様同士が目線を合わせずにリラックスできるような設計も施され、カフェでのひとときが特別な時間となる。ここでは、心のこもったサービスと、家具への深い理解が生まれる場所になるだろう。
さらに、indigo furniture LAB.としてのスペースも設けられ、工場内部での作業を目にすることができる演出も。木製建具のガラス越しには、家具職人の情熱あふれる作業風景が広がり、訪れる人々はその温もりとともに、自分だけの特別な家具が生まれていく過程を見ることができる。LAB.の上部には組み立て中の家具が展示され、まさに工場ならではの活気を感じられる。店舗前には、新たに植えられた大きなハナミズキのシンボルツリーが青々しく育ち、周囲をベンチが囲む。ペット連れのお客様でも心地よく過ごせるように配慮されたこの空間は、地域の人々にとって新たな憩いの場となり、自然との調和を感じさせる。店内からは、そのシンボルツリーを眺めることができ、2層吹き抜けの開口部からは外部の風が優しく流れ込み、訪れた人々を心地よく包み込む。
indigo furnitureが普段から無垢材を使用するという想いは、内装材にも表れている。大谷石や廃校の勉強机を再利用した床材など、すべてがその場所のストーリーを語りかけてくる。偽りのない素材感が、訪れる人々に安心感と温もりを与え、ここにしかない特別な体験を創り出す。デジタル化が進む現代だからこそ、直接訪れて家具の肌触りを感じることの大切さを実感できる。暖かい暖炉の前で、美味しいコーヒーの香りに包まれ、甘いスイーツを楽しむ。そんな「手触り感」のあるリアルな体験を通じて、オーダーした家具を心待ちにする時間が、特別な思い出として心に刻まれることを願っている。
プロデュース&プロジェクトマネジメント
山川智嗣(CORARE ARTISANS JAPAN)
建築デザイン
山川智嗣、山川さつき(CORARE ARTISANS JAPAN)
建築施工
佐藤弘剛(SATO GIKEN)
ランドスケープ施工
西尾耀輔(veig)
造作家具及び什器制作
工藤悠市(indigo furniture)
石材加工
瀧田龍也(滝田石材店)
写真
大木賢(nando)